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BLOG 不動産研修 投資実務 安川 亮介

2024/12/18

不動産投資は「利回り」だけで提案するな。収益物件の提案で僕が見ていること

こんにちは、Revoの安川です。

今回は社内研修で話した「収益物件の提案の仕方」についてまとめます。

僕は今、Revoで自分の案件をバンバン仲介しているわけではありませんが、エージェントのサポートで収益物件の提案から契約まで入ることがあります。

そもそも僕の不動産人生のスタートは、ワンルームマンションの投資会社です。その後はボルテックスで、オフィスビルを区分化して法人や経営者に提案する仕事もしていました。

そのときにずっとやっていたのが、「この物件を買ったら毎月いくら残りますよ」だけではない不動産投資の提案です。

不動産投資のメリットを何個説明できますか?

研修では最初に、みんなに「不動産投資をするメリットって何がありますか?」と聞きました。

出てきたのは、家賃収入、資産価値、担保価値、リスク分散、レバレッジ、売却益、税金、保険などです。

あと意外と僕が大事だと思っているのが「所有欲」です。

「俺のビル、これ」と言いたい人、普通にいるんですよ(笑)。

全部がお金のためではありません。不動産を持つこと自体に満足感を感じる人もいます。

だから営業する側が「利回り何%です」「毎月何万円残ります」しか話せないと、お客様が不動産を持ちたい本当の理由を拾えません。

利回りが高い物件ほど「いい物件」とは限らない

これは研修でかなり話したところです。

収益物件を見ると、多くの人がまず利回りを見ます。

利回り10%。

「おお、いいじゃん」

利回り4%。

「低いな」

こうなりがちです。

でも、利回りが高いということは、裏を返せば価格が安くなっているということでもあります。なぜ安いのかというと、その価格でなければ買い手が付きにくい事情がある可能性もあります。

立地かもしれないし、建物かもしれないし、将来の売却のしづらさかもしれません。

実際、僕が過去に販売していた投資商品には利回り3%台、場合によっては2%台のものもありました。

これを「家賃がこれだけ入ります」だけで売ろうとしても、そりゃ売れません。

利回りの低い物件を提案するなら、インカムゲイン以外の価値を説明できないといけない。

ここが今回の研修で一番伝えたかったことの一つです。

お客様によって「欲しいメリット」は違う

例えば、年収1,000万円の会社員が不動産投資を考えているとします。

その人が今すぐ月5万円、10万円の家賃収入を必要としているとは限りません。

今の生活には困っていない。

でも、

「老後がちょっと不安」

「家族に何か残したい」

「保険も考えたい」

「資産形成をしたい」

「税負担についても考えたい」

という可能性はあります。

一方、法人経営者なら、本業ですでにキャッシュフローが回っていることがあります。

そんな経営者に「この物件なら月5万円残ります!」と一生懸命説明しても、そこじゃないかもしれません。

会社の資産を積み上げたいのか、将来の事業承継まで考えているのか、資産を分散したいのか。

だから僕は、物件を見る前に「何のために買うんですか?」というところをかなり大事にしています。

キャッシュフローと「利益」は同じではない

不動産投資を提案するとき、もう一つ知っておいてほしいのが、キャッシュフローと会計上の損益を混同しないことです。

例えば、家賃8万円の区分マンションがあったとします。

そこから管理費、修繕積立金、固定資産税、管理会社への管理料、借入金の利息、修繕費などがかかります。

さらに建物については、一定のルールに基づいて減価償却費を計上します。

減価償却は、その年に同額の現金が出ていくわけではありません。

そのため、

「現金はいくら残ったのか」

「会計上の利益はいくらなのか」

「資産・負債はどうなっているのか」

は別々に見なければいけません。

僕は研修で、キャッシュフロー・PL・BSを分けて見ようという話をしました。

お客様がキャッシュフローだけ見ているなら、営業する側まで一緒になってキャッシュフローだけ見てはいけません。

「不動産を買えば節税できる」と言ってはいけない

不動産投資の提案で税金の話は避けて通れません。

ただし、ここはかなり注意が必要です。

不動産所得では、家賃などの収入から必要経費を差し引いて所得を計算し、結果として赤字となった場合には、一定の範囲で他の所得と損益通算できる場合があります。

減価償却費が経費になるため、キャッシュフローと税務上の所得に差が出るケースもあります。

ただし、

「不動産を買えば税金が戻ってきます」

「年収1,000万円なら○万円節税できます」

と一律に言えるものではありません。

例えば、不動産所得の赤字のうち土地等を取得するための借入金利子に相当する一定部分などは、損益通算の対象になりません。税務は所得状況や物件、借入れ、所有形態によって変わるので、具体的な計算は必ず税理士などの専門家に確認してください。

僕ら不動産エージェントがやるべきなのは、税理士の仕事をすることではありません。

「こういう論点がありますよ」と入口を理解して、必要なところで専門家につなぐことです。

相続でも「現金と不動産は評価方法が違う」という視点を持つ

相続についても同じです。

現金1億円と、時価1億円の不動産が、必ず同じ相続税評価額になるわけではありません。

土地は路線価方式や倍率方式などで評価し、建物は原則として固定資産税評価額をもとに評価します。貸している不動産では、貸家や貸家建付地として一定の調整が入ることもあります。

ここに実際の取引価格との違いが出るため、不動産が相続対策として検討されることがあります。

ただ、昔よく言われた「タワマンを買えば評価額を大きく圧縮できる」という話は、そのまま現在の制度に当てはめてはいけません。

2024年1月以降、居住用区分所有財産、いわゆる分譲マンションの相続税評価には新しい評価方法が導入されています。

税制は変わります。

昔覚えた営業トークをそのまま10年使うのは危ないです。

小規模宅地等の特例も「50%下がる」で覚えない

研修では小規模宅地等の特例にも触れました。

ここも「不動産なら50%評価を落とせる」と雑に覚えるのはダメです。

例えば一定の貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額ですが、特定居住用宅地等なら330㎡まで80%、特定事業用宅地等なら400㎡まで80%など、それぞれ要件も限度面積も違います。

ここまでエージェントが全部暗記する必要はないと思っています。

でも、「制度がある」「用途によって条件が違う」「専門家確認が必要」ということくらいは知らないと、お客様との会話そのものが始まりません。

法人の事業承継で不動産が使われることもある

僕が以前、法人向けにオフィス不動産を提案していたときは、事業承継の話もよくありました。

法人が持つ非上場株式を評価するとき、不動産の持ち方が株価評価に影響することがあります。

ただし、ここにも注意点があります。

純資産価額方式による株式評価では、評価会社が課税時期前3年以内に取得・新築した土地や建物等について、原則として相続税評価額ではなく通常の取引価額に相当する金額で評価するルールがあります。

だから「法人で不動産を買えば3年後に必ず株価が下がる」という話ではありません。

僕が昔担当したお客様でも、税理士の先生と一緒に事業承継を進め、不動産を活用されたケースがありました。

こういう案件こそ、不動産屋だけで完結させないことが大事です。

インカムゲインだけでなく「出口」まで見る

投資なので、毎月の家賃だけを見ても終わりではありません。

僕はインカムゲインとキャピタルゲインを合わせて考えます。

保有中にいくら入ってきたのか。

維持するためにいくら出ていったのか。

最後にいくらで売れたのか。

ここまで見て、初めて投資全体の結果が分かります。

僕が土地と建物を分けて考えるのも、このためです。

例えば同じ1億円の物件でも、土地価値の割合が大きい物件と、建物価値の割合が大きい物件では、長期保有したときの性質が違います。

建物は年数とともに物理的・経済的に劣化します。一方、土地価格は立地や需給、市況によって上がることも下がることもあります。

だから「利回りが高い・低い」だけでは僕は判断しません。

僕は都心部の商業地をかなり強く見ている

これは僕自身の考えとして、研修でもかなり強く話しました。

僕は、福岡であれば天神や赤坂など、供給できる土地が限られていて需要が集まりやすい都心部・商業地を強く見ています。

理由の一つは、土地を無限に増やせないからです。

さらに建築可能な床面積や用途、再開発などによって、その土地から生み出せる価値が変わることもあります。

福岡でいえば天神ビッグバンのように、規制緩和や再開発によって街そのものの使われ方が変わることもあります。

ただし、ここは研修でも勢いよく話していますが(笑)、ブログでははっきり書いておきます。

どれだけいい立地でも、将来の値上がりを保証することはできません。

不動産価格は金利、景気、人口動態、需給、金融環境などで変動します。

僕自身は強気に見ている。

でも「必ず上がります」とお客様に約束する話ではありません。

リーマンショックのような下落もある

「都心部の土地が強い」と言うと、

「じゃあ下がらないんですか?」

と当然聞かれます。

下がることはあります。

不動産価格は実際にリーマンショックなどで大きく下落した局面があります。

だから僕は、短期間で売らなければいけない資金計画なのか、長期保有できるのかというところも見ます。

価格が下落している時期に「売らないといけない」のと、「家賃収入を得ながら待てる」のでは全然違います。

不動産投資で出口戦略が大事なのは、そういう理由です。

「築年数が古くなれば家賃は必ず下がる」でもない

これも研修で話しました。

新築と築30年のマンションが隣同士にあれば、普通は新築の方が家賃は高いでしょう。

でも、

「ある物件が新築だった30年前の家賃」

と

「同じ物件の現在の家賃」

を比べたとき、必ず現在の方が安いとは限りません。

僕自身が住んでいた笹塚のマンションでも、当時より現在の募集賃料が上がっていた例がありました。

Revo周辺でも、古くなっているのに賃料を上げて成約している物件があります。

もちろん全部の物件がそうなるわけではありません。

人口が減っている地域、競合物件が増えている地域、建物管理が悪い物件なら下がることもあります。

だからこそ、「築30年だから家賃○%下落」と機械的に見るのではなく、その場所の賃貸需要を見る必要があるという話です。

ワンルーム投資も「全部ダメ」ではない

僕は昔、ワンルームマンションの投資会社にいました。

だから、この業界の売り方もかなり見てきました。

ワンルーム投資自体が全部ダメだとは思っていません。

問題なのは、相場よりかなり高く買わせたり、実際より高い賃料を前提に収支を作ったり、サブリースがあるから絶対安心だと説明したりすることです。

サブリースも契約内容次第です。

家賃保証の金額が将来も固定されるとは限りませんし、契約解除や賃料改定などの条件も確認しなければいけません。

「サブリースが付いているから安心です」で終わらせず、契約内容まで見る。

これは営業として当たり前だと思います。

結局、「この人は何を求めているのか」から始める

収益物件を提案するとき、

「利回りが高いから買いましょう」

だけでは僕は弱いと思っています。

キャッシュフローが欲しい人なのか。

将来の収入を作りたい人なのか。

資産形成をしたいのか。

相続や事業承継について悩んでいるのか。

融資を使ってレバレッジをかけたいのか。

所有すること自体に魅力を感じているのか。

目的が違えば、いい物件も変わります。

僕が今回の研修で伝えたかったのは、「この物件をどう売ろう」から考えるのではなく、「このお客様は何を求めているんだろう」から考えようということです。

そのためには不動産だけではなく、融資、税務、会計、相続など周辺知識も必要になります。

もちろん、僕らが税理士や金融機関の代わりになる必要はありません。

分からないところは専門家に聞けばいい。

でも、何も知らなければ専門家につなぐことすらできません。

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