CURATION
2025/03/23
不動産売却査定の基本|地番の調べ方から査定価格の出し方まで
不動産の売却査定を頼まれたとき、「まず何を調べればいいのか」「査定価格をどうやって出すのか」が分からない人もいると思います。
今回は、不動産売却に関する査定の基本を研修として整理します。地番の調べ方、公的書類の取得、査定価格の考え方、そして売り出した後の販売活動まで、まず押さえておきたいところを見ていきます。
不動産仲介で「売りたい人」を見つけることが重要
不動産仲介には、「貸したい人」「借りたい人」「買いたい人」「売りたい人」がいます。
賃貸で部屋を借りたい人の仲介や、住宅を買いたい人の仲介ももちろん僕らの仕事です。その中でも、僕らが仲介営業をやっていくうえで特に重要だと考えているのが、「不動産を売りたい人」です。
売却を任せてもらったら、物件をきちんと調査して、価格を査定し、売却活動を行います。高く売ることだけではなく、お客様の事情によっては「いつまでに売りたいのか」も重要なので、その条件まで考えながら売却を進める必要があります。
そのためにも、まず査定の基本を知っておかなければいけません。
査定の第一歩は、住所から物件を特定すること
お客様から「この物件を売りたいんです」と相談されたら、まず所在地を確認します。
ここで覚えておいてほしいのが、普段使っている住所と、不動産登記で使う「地番」は必ずしも同じではないということです。
土地の登記事項証明書などを取得するときは、住所ではなく地番で土地を特定します。建物については「家屋番号」を使います。
だから、お客様から住所を聞いただけで終わりではありません。そこから対象不動産の地番や家屋番号を確認する作業が必要になります。
地番を調べる方法はいくつかありますが、ブルーマップなどの地番が確認できる地図を使う方法があります。また、手元の資料で確認できない場合は、管轄の登記所に問い合わせて確認する方法もあります。
僕らの場合は、まずここで物件をきちんと特定するところから査定が始まります。
地番が分かったら、公的な資料を取得する
地番が分かったら、次に物件についての公的な資料を取得します。
査定や売却を進めるうえで確認することが多いのは、たとえば次のような資料です。
- 登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)
- 公図
- 地積測量図
- 建物図面・各階平面図
全部の物件ですべての資料が存在するわけではありません。特に古い土地の場合、地積測量図がないこともあります。
資料を取ったら、まず所有者を確認します。相談してきた人が本当に所有者なのか、共有名義ではないか、相続後の登記がまだ終わっていない状態ではないか、といったことを見る必要があります。
あわせて、土地や建物の面積、地目、抵当権などの権利関係についても確認します。
売却相談を受けたからといって、「この人が所有者だろう」と思い込んではいけません。実際に登記を見たら親名義だった、夫婦の共有だった、ということもあります。
査定価格を考える前に、まず「何を売るのか」「誰のものなのか」を正確に把握することが大事です。
不動産査定で使われる3つの考え方
不動産価格を考える代表的な方法として、「取引事例比較法」「収益還元法」「原価法」があります。
どれかひとつだけ覚えればいいという話ではありません。物件の種類や査定の目的によって使いやすい方法が違うので、それぞれ何を見て価格を考えているのかを理解しておいてください。
取引事例比較法|周辺の成約事例と比較する
実務で非常によく使うのが取引事例比較法です。
簡単に言えば、周辺で実際に取引された似た物件と比較しながら、「この物件ならどれくらいで取引されそうか」を考える方法です。
たとえば、隣の土地が3,000万円で売れたから、この土地も3,000万円くらいではないか、と考えるところからスタートします。
ただし、不動産にはまったく同じものがありません。
隣だから同じ価格になるわけではなく、土地の形、面積、道路との関係、建物の状態、取引された時期なども違います。マンションなら階数、向き、室内の状態などでも変わります。
だから、「隣が3,000万円だったから、ここも3,000万円です」で終わってはいけません。その取引事例と対象物件の何が違うのかを見るのが査定です。
収益還元法|家賃収入から価格を考える
投資物件などでよく使われるのが収益還元法です。
考え方を単純化すると、その不動産から得られる収益をもとに、どれくらいの価格が妥当なのかを考えます。
たとえば、月10万円の家賃が取れる物件なら年間家賃収入は120万円です。
仮に表面利回り5%をひとつの目安として単純計算するなら、
120万円 ÷ 5% = 2,400万円
となります。
もちろん、実際の収益物件の査定をこれだけで決めるわけではありません。空室、運営費、修繕、賃料の妥当性、立地、市場で求められている利回りなども見ながら判断します。
ただ、「収益と利回りから価格を逆算する」という基本的な関係は理解しておいた方がいいです。
原価法|今もう一度つくるならいくらかを考える
原価法は、対象となる建物などを今もう一度つくるとしたらどれくらい費用がかかるかという「再調達原価」を求め、そこから築年数や建物の状態などによる減価を考慮して価格を求める方法です。
新築時に2,000万円かかったから、何年経っても建物価格が2,000万円ということではありません。一方で、建築費そのものが上がっていれば、現在の再調達原価が当時より高くなっている可能性もあります。
取引事例比較法や収益還元法と同じく、これも査定価格を考えるためのひとつの見方です。
査定価格は「似た物件がいくらだったか」だけでは決まらない
取引事例を集めることは大切ですが、その数字をそのまま当てはめるだけでは査定にはなりません。
不動産はひとつとして同じものがないので、物件ごとの差を見ていく必要があります。
たとえば土地なら、用途地域、建ぺい率・容積率、土地の広さや形、高低差、接道状況などを確認します。同じエリアにある土地でも、「そこにどんな建物が建てられるのか」によって需要は変わります。
マンションなら階数、向き、日当たり、室内状況、管理状態、修繕積立金なども比較材料になります。
そのほかにも、
- 駅や周辺施設などの利便性
- ハザード情報
- 周辺の取引状況
- 売り出す時期の市場環境
- 物件固有のプラス・マイナス要因
などを見ます。
大事なのは、「この物件は3,000万円です」と言うだけではなく、なぜその価格になるのかをお客様に説明できることです。
査定書をきれいにつくることより、価格の根拠を自分の言葉で説明できる方が重要だと僕は思っています。
査定したら終わりではない。売却活動まで考える
査定をして媒介を任せてもらったら、次は実際に買主を探していきます。
販売方法はインターネット掲載だけではありません。
- 不動産ポータルサイトへの掲載
- REINSなどを通じた不動産会社間での情報共有
- SNSやYouTubeでの発信
- 看板や現地での告知
- オープンハウス
- 近隣への営業や挨拶
こうした方法を物件に応じて組み合わせます。
僕は特に、近隣への営業はやった方がいいと思っています。
近所の人から「親を近くに呼びたい」「知り合いがこの辺で探している」という話が出てくることもありますし、話をしている中で「実はうちも売ろうと思っている」という次の売却相談につながることもあります。
ネットに掲載して待つだけが売却活動ではありません。
売却査定は、仲介営業の基本になる
売却査定は、地番を調べて、登記を取って、事例を調べて、現地を見て、価格を考えるという地道な仕事です。
ただ、僕はここが仲介営業ではかなり重要だと思っています。
物件を預かれなければ売ることはできませんし、お客様から売却を任せてもらうためには、「この人ならちゃんと調べてくれる」「この価格にはこういう根拠がある」と思ってもらわなければいけません。
まずは、
- 地番・家屋番号を確認して物件を特定する
- 登記事項証明書や公図などを確認する
- 取引事例比較法・収益還元法・原価法の考え方を知る
- 価格に影響する条件を比較する
- 査定後の販売活動まで考える
この流れを実務の中で繰り返して覚えていってください。
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