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BLOG 不動産ニュース 法改正・制度 安川 亮介

2026/10/13

賃貸不動産の相続税評価に「5年ルール」?2027年適用予定の見直し案を解説

Revoの安川です。「不動産を持つと相続税対策になる」という話は、聞いたことがある方も多いと思います。その大きな柱の一つが、実勢価格と相続税評価額の乖離です。実は今、その部分に見直しの動きが出ています。

今回は、賃貸不動産の相続税評価に導入が予定されている「5年ルール」について整理します。購入を検討している方だけでなく、すでに賃貸物件を持っている方にも関係する内容です。

1.相続税対策の大きな柱は、実勢価格と評価額の差

実勢価格は、市場で売買される価格。相続税評価額は、相続税を計算するときに使う財産の評価額です。不動産では、この二つが同じ金額になるとは限りません。

土地には路線価方式や倍率方式があり、建物は原則として固定資産税評価額を基に評価します。さらに、賃貸中の土地や建物は権利関係に応じた調整が入ります。分譲マンションなどには別途補正があるため、物件ごとに確認が必要です。国税庁「土地家屋の評価」

こうした仕組みによって、市場での価格より相続税評価額が低くなる場合があります。この差が、不動産を使った相続税対策の大きな柱になってきたわけです。ただ、相続対策には財産の分け方や納税資金の準備もありますから、評価額だけで全部が決まる話ではありません。

2.「5年ルール」で、どの不動産の評価が変わる?

見直しの中心は、相続や贈与の前5年以内に、お金を払って取得・新築した一定の貸付用不動産です。これを原則として、その相続・贈与時点の通常の取引価額で評価する方針が、令和8年度税制改正の大綱に示されました。市場価格と評価額の大きな差を見直す、という方向です。財務省「令和8年度税制改正の大綱」

その具体化として、国税庁は2026年9月18日に法令解釈通達案を公表しました。この記事を書いている2026年10月13日時点では、10月18日まで意見を募集している段階です。最終確定した制度として扱わず、今後公表される通達を確認する必要があります。国税庁の通達案に関する意見募集

対象は、借家権の目的となっている家屋と、その敷地などです。個人が持つすべての不動産に、一律の5年間の保有義務ができるという話ではありません。通達案本文・第1項

3.2027年以後に買う物件だけが対象ではない

適用予定日は、2027年1月1日です。ここでいう日付は、不動産を買った日ではなく、相続・遺贈・贈与によって財産を取得する時期のことです。2026年以前に購入した物件でも、相続などの時点からさかのぼって5年以内なら、対象になる可能性があります。国税庁「通達案の概要」

取得・新築の時期は、通達案では原則として引渡し時とされています。契約した日だけを見て判断しないようにしたいところです。また、長く所有している土地等で、通達制定日までに新築した家屋や建築中の家屋には、一定の経過措置が示されています。

この経過措置には土地の取得状況や工事の進み方などの条件があります。「昔から持っている土地だから大丈夫」と決めつけず、個別に確認してください。通達制定日も、現時点の案ではまだ具体的な日付が入っていません。通達案本文・経過措置と注記

4.「取得価額の80%」「5年たてば節税」の受け取り方に注意

今回の見直しでは「80%」という数字も出てきます。取得時の価格が通常の取引価額に相当すると認められる場合、土地は地価の変動、建物は償却などを反映し、その金額の80%で評価できるという内容です。すべての物件を、買った金額にそのまま0.8を掛けて評価するわけではありません。通達案本文・第1項ただし書

また、5年を超えて持てば必ず節税できる、とも言えません。もともと、通常の通達による評価が著しく不適当な場合に、別の評価を行う取扱いがあります。保有年数だけで税務上の結論は出せない、ということです。国税庁「財産評価基本通達」第6項

なお、一定の不動産小口化商品は別枠です。取得時期を問わず評価方法を見直す方針なので、一般の賃貸不動産と同じ「5年」で考えないようにしてください。財務省・小口化された貸付用不動産の見直し

5.個人の5年と、法人の3年は単純比較できない

法人が不動産を持っている場合、相続するのは通常、その法人の株式や持分です。現行制度では、非上場株式の純資産価額を計算する際、法人が課税時期前3年以内に取得・新築した土地や建物等は、原則として通常の取引価額で評価するルールがあります。国税庁「財産評価基本通達」第185項

今回の通達案も、この純資産価額計算に使う土地・建物等には、新しい5年ルールを適用しないとしています。ただ、「個人は5年、法人は3年だから法人が得」とは判断できません。株式の評価方法や保有・移転にかかる税金なども含め、税理士と確認する部分です。通達案本文・第1項注7

6.評価差と一緒に、物件の収益と管理も確認する

相続税評価額が下がるとしても、空室が続いたり、大きな修繕費がかかったりすれば、手元に残るお金は変わります。家賃収入から管理費や修繕費、借入返済などを差し引いて、どれくらい資金が残るかも見ておきましょう。相続した家族が、その物件を管理できるか、売却する場合にどうなるかも確認しておきたいところです。

まずは、物件の取得日、取得価額、現在の賃貸状況、借入残高が分かる資料をそろえる。そのうえで税理士と税務上の影響を確認し、不動産の収益性や管理の見通しも合わせて検討する。この順番で、今の計画を見直していきましょう。

相続を見据えた不動産の購入や売却については、RevoのLINEからご相談ください。具体的な税額や適用の可否は、税理士への確認が必要です。

※2026年10月13日時点の公表資料に基づく解説です。通達案は今後変更される可能性があるため、実際の判断時には最新の内容をご確認ください。

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