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BLOG 不動産ガイド 相続・空き家 安川 亮介

2026/09/14

相続した実家を売ると税金はいくら?3,000万円特別控除と使えないケースを解説

相続した実家を売ろうと思ったとき、「売ったら税金ってどのくらいかかるんですか?」というのは、かなり気になるところだと思います。

さらに調べていくと、「相続した空き家なら3,000万円控除できる」という情報も出てきます。ここだけを見ると、「3,000万円までで売れれば税金はかからないのかな?」と思うかもしれませんが、そういう制度ではありません。

3,000万円というのは売却価格から引くのではなく、一定の要件を満たした場合に、売却によって出た譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。

しかも、相続した家なら何でも使えるわけではありません。築年数や建物の種類、誰が住んでいたのか、相続後どう使っていたのか、いつ売るのかなど、かなり細かい条件があります。

今回は、相続した実家を売却したときの税金の基本と、特に気になる「3,000万円特別控除が使えるケース・使えないケース」をできるだけ分かりやすく整理します。

相続した家を売ったら、売却価格全部に税金がかかるわけではない

まず最初に知っておいてほしいのは、3,000万円で家を売ったからといって、3,000万円全部に税金がかかるわけではないということです。

土地や建物を売ったときは、基本的に売却価格から取得費と譲渡費用などを差し引いて「譲渡所得」を計算します。

基本的な考え方
譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

取得費には、親など亡くなった方がその土地や建物を購入したときの代金や購入手数料などが関係します。建物については、所有期間中の減価償却も考慮して計算します。

譲渡費用には、売却時の仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却のために行った建物の解体費などが含まれる場合があります。

つまり大事なのは、「いくらで売れたか」ではなく、「売却してどのくらい利益が出たのか」です。

例えば3,000万円で売った場合、税金はどうなる?

かなり簡略化した例ですが、親が1,000万円で取得した不動産を相続し、3,000万円で売却したとします。売却のための仲介手数料などが100万円かかったとします。

項目 金額
売却価格 3,000万円
取得費 1,000万円
譲渡費用 100万円
譲渡所得 1,900万円

この例で、相続空き家の3,000万円特別控除の要件をすべて満たしていれば、1,900万円の譲渡所得から特別控除を差し引けるため、課税対象となる譲渡所得は0円になります。

逆に、この特例が使えなければ、1,900万円の譲渡所得に対して税金を計算することになります。

なので、相続不動産を売却する場合、3,000万円特別控除が使えるかどうかで税額が大きく変わる可能性があります。

※実際の取得費や建物の減価償却、その他の特例などによって計算は変わります。上記は制度を理解するための単純化した例です。

そもそも「相続空き家の3,000万円特別控除」とは?

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」という制度です。

親などが住んでいた一定の家屋やその敷地を相続し、一定の条件を満たして売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。

ただし、2024年1月1日以後の譲渡では、対象となる家屋や敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、控除額の上限は一人あたり2,000万円になります。

ここで一番大事なのは、「実家を相続した=3,000万円控除が使える」ではないということです。

3,000万円特別控除が使えない代表的なケース

この制度は条件が細かいので、売却してから「対象外でした」と分かると困ります。特に次のケースは、売却前に確認しておいた方がいいです。

1.昭和56年5月31日より後に建築された家

この特例の対象となる家屋は、原則として昭和56年5月31日以前に建築されたものです。

つまり、「親が住んでいた戸建てだから対象」というわけではありません。比較的新しい実家については、この相続空き家の3,000万円特別控除の対象にならない可能性があります。

築年月は登記事項証明書などで確認できます。

2.分譲マンションを相続した

これも間違えやすいポイントです。

この特例の対象となる家屋は、区分所有建物登記がされている建物ではないことが条件です。

そのため、一般的な分譲マンションの一室を親から相続して売却するケースでは、この「相続空き家の3,000万円特別控除」は基本的に対象になりません。

「相続した家なら戸建てもマンションも同じ」というわけではないので注意が必要です。

3.親と誰かが一緒に住んでいた

原則として、相続開始の直前に、その家に亡くなった方以外の人が住んでいなかったことも条件です。

例えば、親と子どもが同居していた実家を相続した場合などは、この要件に該当しない可能性があります。

この制度が「相続によって空き家になった住宅」を対象としているためです。

4.相続した後に誰かが住んだ

相続後の使い方も重要です。

相続してから売却するまでの間に、相続人自身や別の人がその家に住んだ場合は、特例の対象外になる可能性があります。

「すぐ売るか決まっていないから、とりあえず自分が1年住んで、その後売ろう」という場合は、売却前に税務上どうなるか確認した方がいいです。

5.相続後に賃貸として貸した

「誰も住まないなら、売るまでの間だけ貸そう」と考えることもあると思います。

ただ、この特例では、相続後から売却までの間にその家や敷地を貸付けの用に供していないことなどが要件になっています。

つまり、あとで3,000万円特別控除を使って売却したいのであれば、「とりあえず賃貸に出しておこう」が影響する可能性があります。

ここは売却前に確認した方がいいです
「売るか貸すか迷っている」という場合、先に賃貸に出すことで特例が使えなくなる可能性があります。税金まで含めて比較してから決めた方がいいケースです。

6.売却するのが遅すぎた

この特例には売却期限があります。

原則として、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

「実家だから急いで決めたくない」という気持ちは当然あると思います。ただ、何年もそのままにしていると、いざ売ろうと思ったときには特例の期限を過ぎている可能性があります。

以前の記事でも書きましたが、相続した実家は「すぐ売らなければいけない」わけではありません。ただ、売却期限がある税制も存在するので、少なくとも期限だけは早めに確認しておいた方がいいです。

7.売却価格が1億円を超える

この特例には、売却代金が1億円以下という要件もあります。

また、一つの土地を分けて売った場合などは単純に今回の売却価格だけを見るとは限りません。一定期間内に分割して売却した部分や、他の相続人が売却した部分なども含めて1億円以下かどうかを判定するケースがあります。

土地が広い場合や価格の高いエリアにある実家については注意が必要です。

8.親族など特別な関係にある人へ売った

親子や夫婦など、一定の特別な関係にある人へ売却した場合も、この特例は使えません。

例えば、「家族の中で買い取ってもらえばいい」と考える場合は、通常の第三者への売却とは税務上の扱いが違う可能性があります。

家族間で売買する場合は、価格の設定も含めて税理士など専門家へ確認した方がいいです。

老人ホームに入っていた親の家は絶対に対象外?

「亡くなる前に親が老人ホームに入っていたから、もう対象にならないですよね?」と思う方もいるかもしれません。

ここは例外があります。

一定の要介護認定等を受けて老人ホームなどへ入所していた場合でも、一定の条件を満たせば、それまで住んでいた家が対象になることがあります。

例えば、老人ホームへ入ってからもその家が親の家財を保管するためなどに使われていて、他の人が住んだり賃貸に出したりしていないことなど、細かい要件があります。

「老人ホームに入っていたから無理」と自分で判断せず、該当しそうなら確認してみた方がいいです。

古い家は、そのまま売れば必ず控除できるわけではない

対象となるのは古い家ですが、そのままの状態で売れば何でも控除できるというわけでもありません。

家屋を残したまま売却する場合は、一定の耐震基準を満たすことなどが必要になります。一方で、家を取り壊して敷地を売却する方法もあります。

現在の制度では、一定の場合には、売却した後に買主側で耐震改修や取り壊しを行い、売却した年の翌年2月15日までに要件を満たすことで対象になる仕組みもあります。

ここは売買契約の条件にも関わってくるので、「控除を使いたいので先に自分で解体してしまおう」と決める前に、不動産会社と税理士の両方へ確認した方がいいと思います。

親がいくらで買ったか分からないと、税金が大きくなることがある

相続不動産で非常によく問題になるのが取得費です。

相続した土地や建物については、原則として親など被相続人が取得したときの取得費を引き継ぎます。

ところが、何十年も前に買った実家だと、「売買契約書がない」「いくらで買ったのか家族の誰も知らない」ということがあります。

取得費が分からない場合などは、売却価格の5%を概算取得費として計算することができます。

例えば3,000万円で売却した場合、5%なら取得費は150万円です。

実際にはもっと高い金額で購入していたとしても、資料がなく概算取得費で計算することになれば、譲渡所得が大きくなる可能性があります。

実家を売る前に探してほしいもの
昔の売買契約書、領収書、建築請負契約書など、取得費を確認できそうな資料が残っていないか一度探してみてください。

相続したばかりでも「短期譲渡」になるとは限らない

これもよく勘違いしやすいところです。

土地や建物を売ったときは、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれ、税率が違います。

「相続して1年しか経っていないから短期譲渡になる」と思うかもしれませんが、相続の場合は原則として、親など被相続人が取得した時期を引き継ぎます。

例えば親が30年前に買った実家を相続して、その翌年に売却した場合でも、所有期間の判定は親が取得した時期から考えます。

一般的な長期譲渡所得では、2026年時点で所得税・住民税・復興特別所得税を合わせると実質約20.315%、短期譲渡所得では約39.63%です。

ただし、実際の税額は特例や取得費などで変わりますので、「売却価格×約20%」という計算ではありません。

相続税を払っている人は「取得費加算」も確認する

相続によって不動産を取得し、相続税も支払っている方の場合は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が使える可能性があります。

一定期間内に相続した不動産を売却すると、支払った相続税のうち一定額を取得費へ加算できる制度です。

ただし、この取得費加算の特例と、今回紹介している相続空き家の3,000万円特別控除は、同じ不動産について両方をそのまま使えるわけではありません。

相続税を支払っている方の場合は、「3,000万円控除と取得費加算のどちらが使えるのか、どちらが有利なのか」まで含めて税理士へ確認した方がいいです。

3,000万円特別控除を使うには確定申告が必要

条件を満たしていれば、自動的に税金が安くなるわけではありません。

特例を受けるためには、必要な書類をそろえて確定申告する必要があります。

市区町村から交付を受ける「被相続人居住用家屋等確認書」など、通常の不動産売却では必要にならない書類もあります。

売却が終わってから慌てて書類を集めるより、特例を使う予定であれば売却を進める段階から必要書類を確認しておいた方がいいです。

「特別控除があるから売る」ではなく、使えるか確認してから売る

相続した実家を売却するときに一番避けたいのは、「3,000万円控除があるらしいから税金は大丈夫」と思ったまま売却を進めて、後から対象外だと分かることです。

特に確認してほしいのは、築年月、建物の種類、亡くなった方以外に誰か住んでいなかったか、相続後に住んだり貸したりしていないか、売却期限を過ぎていないか、このあたりです。

チェック項目 確認ポイント
築年月 昭和56年5月31日以前の建築か
建物 区分所有建物ではないか
居住状況 原則、相続直前に亡くなった方以外が住んでいなかったか
相続後の利用 住居・賃貸・事業などに使っていないか
期限 相続開始から一定の売却期限内か
売却価格 1億円以下の要件を満たすか

不動産会社は売却価格や売り方について相談できますが、最終的な税額や特例の適用可否を判断するのは税務の分野です。

だから僕は、相続不動産の場合は「いくらで売れそうか」と「売ったら税金がどうなりそうか」をセットで確認してから動くのがいいと思います。

相続した実家を売るなら、税金まで含めて手取りを考える

相続した実家の売却では、査定価格だけを見ても、本当に手元に残る金額は分かりません。

仲介手数料、測量、残置物処分、場合によっては解体などの費用がかかることもあります。そして譲渡所得が出れば税金も関係します。

逆に、3,000万円特別控除などが使えることで、想定していたより税負担を抑えられる場合もあります。

だから、「3,000万円で売れるから3,000万円入る」「相続した空き家だから3,000万円控除が絶対使える」と考えず、売却前に一度全体を整理してください。

Revoでは、相続した不動産をまだ売ると決めていない段階でも、現在の査定価格や売却方法についてご相談いただけます。税務判断が必要な部分は税理士などの専門家へ確認しながら、まず不動産としてどう売るのがいいのかを一緒に整理していきます。

相続した実家の売却についてお悩みの方へ
まだ売却すると決めていなくても大丈夫です。現在いくらで売れそうなのか、どんな売却方法が考えられるのか、まずは整理するところからご相談ください。

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※この記事は相続不動産売却に関する一般的な情報をまとめたものです。税額、特例の適用可否、相続税・所得税の取扱いは個別の状況によって異なります。実際の申告や税務判断については税務署または税理士へご確認ください。

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