CURATION
2026/09/14
元ワンルームマンション会社勤務の僕が教える「ワンルームマンション投資の闇」5選
「ワンルームマンション投資って危ないんですか?」という話は、ネットでもかなり見かけます。僕は以前、実際にワンルームマンションを販売する会社で働いていました。そして今は、不動産仲介の立場で購入だけではなく、すでにワンルームマンションを持っている方から売却相談を受けることもあります。
だから販売するときの話も分かるし、買った後にどうなっているのかも見る機会があります。最初に言っておきますが、ワンルームマンションそのものが全部ダメだと言いたいわけではありません。物件に罪はないんです。
問題になるのは、売り方だったり、価格だったり、サブリースだったり、その間に入っている仕組みだったりします。そこを知らずに買うと、後になって「そんな話、聞いてないよ」となることがあります。
今回は、僕がワンルームマンション業界にいた経験と、今の仲介の現場で見てきたことから、投資する前に特に気をつけてほしい5つを紹介します。
最初に
この記事は、すべてのワンルームマンション会社や物件がこうだという話ではありません。同じワンルームマンションでも、価格・賃料・融資・管理・サブリースなどの条件によって内容は大きく変わります。
第5位|50年ローンを組んでもキャッシュフローがマイナス
まず僕がかなり気になるのが、返済期間を50年まで伸ばしているのに、毎月のキャッシュフローがまだマイナスになっている物件です。
もちろん、50年ローンそのものが悪いわけではありません。返済期間が長くなれば毎月の返済額を抑えられるので、使い方によっては選択肢になります。金融機関が長期間の融資を出してくれること自体は、不動産を購入する側にとってメリットになることもあります。
ただ、僕が気になるのはその先です。返済期間を35年ではなく50年まで延ばして、それでも「毎月5,000円の持ち出しです」「毎月1万円の持ち出しです」となっているなら、僕ならまず「そもそもこの価格、高くないですか?」と考えます。
実際に、そういうワンルームマンションを購入された方から売却相談を受けたことがあります。購入時のローン返済だけを見ると負担が小さく見えるのですが、売ろうとしたときに初めて購入価格と現在の市場価格の差が見えてくることがあります。
50年ローンだからダメなのではありません。重要なのは、返済期間を長くして見た目の月額を小さくした状態ではなく、物件価格・家賃・管理費・修繕積立金・金利などを全部見て、その価格で本当に買っていいのかということです。
第4位|「お金が戻ってくるからお得」というキャッシュバック
次がキャッシュバックです。ここはかなり注意してほしいところです。
例えば「自己資金が足りないなら100万円出しますよ」「購入してくれたら後からお金を戻しますよ」という話をされたとします。キャッシュバックという名前だけで直ちに違法だとは言えませんが、手付金を実質的に貸したり、信用を供与したりして契約を誘引する行為は宅建業法上禁止されています。
僕が過去に見聞きした中には、単純に「購入代金としてキャッシュバックします」という形ではなく、「今後うちと業務提携して、お客様を紹介してください。その活動資金として支払います」といった別の名目を付けるケースもありました。
こういうものを見たときに、僕なら「100万円もらえる、ラッキー」とは考えません。まず「その100万円はどこから出ているんだろう?」と考えます。
不動産会社も当然、利益を出して商売をしています。購入時に大きなお金が戻ってくるのであれば、その原資が物件価格に含まれているのか、その後の管理やサブリースなどで回収される仕組みなのか、僕なら確認します。
「フルローン+キャッシュバックだから自己資金なしで買えて得」だけで判断しない
お金が戻ってくることより、物件そのものをいくらで買っているのか、その後どんな契約が付いているのかを見る方が大事です。
第3位|修繕積立金が最初だけ異常に安く見える
3つ目は修繕積立金です。ワンルームマンションの収支を見るとき、家賃収入だけを見る人がいますが、実際にはローン返済だけでなく、管理費や修繕積立金などの支出があります。
ここで僕が注意するのが、修繕積立金が最初だけかなり低く設定されている物件です。例えば購入時は月1,000円程度だったものが、その後2,000円、3,000円、5,000円、1万円と上がっていけば、当然毎月のキャッシュフローは変わります。
最初に「毎月5,000円くらいの持ち出しです」と聞いて購入したのに、修繕積立金が上がって「いつの間にか毎月1万円、2万円近く出ていく」ということになれば、購入時に想定していた収支とはかなり違ってきます。
ただし、ここは誤解してほしくありません。修繕積立金を段階的に増額する方式そのものがおかしいわけではありません。マンションは将来の大規模修繕に備える必要がありますし、工事費や物価が変われば長期修繕計画を見直すこともあります。
だから見るべきなのは「今いくらか」だけではありません。長期修繕計画を見て、今後どのくらい上がる予定なのか、将来必要になる修繕費に対して積立額がどう設定されているのかまで確認した方がいいです。
これは売却するときにも関係します。管理費や修繕積立金が高くなれば、次に買う投資家から見た毎月の収支も悪くなります。そうなれば当然、購入を検討する側が出せる価格にも影響します。
第2位|提示されている「家賃」が本当に取れているのか
ここからは、僕がかなり怖いと思っている話です。
投資用不動産では、家賃が高ければ高いほど収益性が良く見えます。例えば「この部屋は家賃7万円です」と言われるのと「実際の家賃は6万円です」と言われるのでは、購入判断が全然変わります。
さらにサブリースが入ると話が分かりにくくなることがあります。例えば「家賃7万円で、その90%の6万3,000円を保証します」と言われれば、買う側は6万3,000円が今後も入ってくるような感覚になりやすいと思います。
でも僕なら、そこで「実際に入居者はいくらの家賃を払っているんですか?」を確認します。
もし実際の賃料水準と、投資家へ説明されている前提賃料に大きな差があるなら、その理由は必ず確認した方がいいです。また、サブリース契約は「一度決めた賃料がずっと固定される」という意味ではありません。契約内容によっては、後から賃料が見直されることがあります。
僕が怖いと思うのは、最初だけ高い数字を見せて物件価格を良く見せ、その数字を前提に投資判断をさせることです。
購入するときは、「家賃保証」という言葉だけではなく、実際の賃料、サブリース賃料、見直し条件、解約条件まで確認してください。
サブリースは「保証」という言葉だけで判断しない
「何%保証されるか」だけでなく、その基準となる賃料はいくらなのか、将来見直される可能性があるのかまで確認することが大切です。
第1位|売ろうとしたときに「重要事項調査報告書」が高額だった
最後は、ワンルームマンションを買うときではなく、売るときに初めて分かることがあるという話です。
区分マンションを売却するときには、仲介会社が管理状況などを確認するため、管理会社から「重要事項調査報告書」などの資料を取得することがあります。
これが数万円程度かかるケースでも「紙やPDFを取得するのに結構するな」と感じることがありますが、僕が実際に売却相談で経験した中では、取得に約40万円必要と案内されるケースがありました。
40万円ですよ。
例えば1,000万円前後のワンルームマンションを仲介するとします。仲介会社が売却を進めるために必要な資料を取得しようとしたら、それだけで40万円かかる。そうすると「この取引、どうやってやるんですか?」という話になってきます。
売主が負担するのか、仲介会社が負担するのか、契約や取引条件によって整理は変わります。ただ、少なくとも僕は、売却時にこういう費用や条件が存在することを、買うときに知っている人はかなり少ないと思います。
なお、重要事項調査報告書の取得費用が高いというだけで、それ自体を直ちに違法・犯罪とは言えません。ここは分けて考える必要があります。
ただ僕が投資家として見るなら、「買うとき」だけではなく、将来どうやって売れるのか、サブリースを解除できるのか、売却時に必要な費用や条件は何なのかまで確認してから買います。
ワンルームマンションそのものが悪いわけではない
ここまでかなり強い話をしましたが、もう一度言います。僕は「ワンルームマンション投資は全部ダメ」と言っているわけではありません。
物件に罪はないんです。
問題なのは、相場より高い価格で販売されていたり、将来上がる費用が十分説明されていなかったり、実際の収益と違う見え方をさせたり、売却するときに初めて厳しい条件が分かったりすることです。
ワンルームマンションだから買う、ワンルームマンションだから買わない、ではなく、物件価格・融資・実際の賃料・管理費・修繕積立金・サブリース・出口まで全部見て判断する必要があります。
すでにワンルームマンションを持っている人も、一度数字を見直してみてください
この記事を読んでいる方の中には、「もうワンルームマンションを買ってしまった」という方もいると思います。
その場合も、いきなり「失敗した」と決めつける必要はありません。今の残債はいくらなのか、現在の家賃はいくらなのか、管理費・修繕積立金はいくらなのか、サブリースはどうなっているのか、今売ったらいくらくらいなのか。まず現状を整理した方がいいです。
僕たちは、販売会社としてワンルームマンションを売ることを前提にしているわけではありません。今持っている物件をそのまま保有した方がいいのか、それとも売却を検討した方がいいのかも含めて、不動産仲介の立場から一緒に数字を見ます。
ワンルームマンションの購入・売却で悩んでいる方へ
これから購入を検討している方も、すでに所有していて売却を考えている方も、まずは現在の数字を見ながら整理しましょう。
