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BLOG 不動産研修 投資実務 安川 亮介

2026/09/17

販売図面だけ渡して終わってない?不動産営業が「銀行にそのまま持っていける資料」を作る理由

不動産営業というと、販売図面を渡して、物件の説明をして、「ご検討ください」で終わっている人もいます。でも、投資用不動産を扱うなら、それだけでは弱いです。

特に融資を使って購入するお客様なら、僕は「このまま銀行に持っていけば融資相談できる」状態まで資料を揃えて渡すのが営業の仕事だと思っています。

営業資料は、お客様に物件を見せるためだけのものではありません。投資物件の場合は、銀行に説明するための資料でもあるからです。

今回のポイント
「資料を渡す」ではなく、「銀行で使える状態にして渡す」。ここまでやると、営業の質はかなり変わります。

販売図面1枚だけでは、融資相談は進まない

投資物件を買うとき、多くのお客様は融資を使います。ということは、物件を紹介した後には銀行との融資相談があるわけです。

そのときに販売図面1枚しか持っていなければ、結局お客様は銀行から「登記簿ありますか?」「レントロールありますか?」「固定資産税はいくらですか?」「賃貸借契約書はありますか?」と聞かれて、また営業に連絡してくることになります。

営業はそこから一つずつ資料を探して送る。お客様は銀行に転送する。銀行からまた別の資料を求められる。これを何回もやっていたら、当然時間がかかります。

だったら最初から、融資相談で聞かれそうな資料を一式まとめて渡しておけばいいんです。

僕なら「銀行にそのまま持っていける形」で渡す

今はPDFで資料を送るのが普通ですし、金融機関側もデジタル化は進んでいます。それでも実際の融資相談では、紙に印刷して確認したり、書き込みながら面談したり、社内で資料を共有したりする場面があります。

だから僕なら、データで送るだけではなく、必要に応じて紙でも一式にして渡します。

銀行との面談で机の上に資料を広げて、「これが登記です」「これが収支です」「これがレントロールです」とすぐ見せられる。お客様自身も、どの資料が何なのか分かります。

お客様に資料探しをさせない。これだけでも営業としてかなり違います。

営業側で準備しておきたい資料

物件や金融機関によって必要書類は変わりますが、投資物件の融資相談を想定するなら、営業側ではできる限り資料をまとめておきます。

分類 主な資料
物件概要 販売図面、物件概要書、物件写真、周辺地図
権利関係 登記事項証明書、公図、必要に応じて地積測量図など
賃貸・収益 レントロール、賃貸借契約書、収支表、家賃相場
ランニングコスト 固定資産税関係資料、管理費、修繕積立金、修繕履歴
購入費用 諸費用一覧、概算資金計画
相場確認 周辺賃料事例、周辺成約事例など

一棟物件や事業用物件になると、さらに資料が増えます。建築確認関係、検査済証、境界関係資料、修繕記録、遵法性に関する資料など、その物件の内容に応じて確認すべきものがあります。

重要なのは「この一覧を全部揃えれば終わり」ということではありません。銀行がその物件を審査するときに、何を知りたいのかを考えて資料を準備することです。

お客様側で必要になる資料も先に伝える

融資は物件だけで決まるわけではありません。お客様自身の年収、勤務先、資産、借入状況なども見られます。

だから営業側は、物件資料を準備するだけでは足りません。お客様にも「銀行相談ではこういう資料を求められることがあります」と先に伝えておいた方がいいです。

  • 源泉徴収票
  • 確定申告書
  • 住民税関係資料
  • 預金・金融資産などの資産資料
  • 現在の借入一覧
  • 本人確認資料
  • 勤務先・勤続年数などの情報
  • 法人購入なら決算書など

金融機関や案件によって必要な内容は違いますが、後から「次はこれを出してください」「今度はこれです」と小出しにすると、お客様も疲れます。

最初にチェックリストを渡しておけば、何を準備すればいいか分かります。営業側も融資相談の進み具合を管理しやすくなります。

資料は多ければいいわけではない。並び順まで考える

資料を20枚、30枚集めても、バラバラの状態で渡したら見づらいです。銀行担当者が資料をめくりながら「あれ、収支どこですか?」「登記はどれですか?」となるようでは、整理した意味がありません。

僕ならA4でまとめて、見る順番まで決めます。

順番 内容
1表紙・物件名
2物件概要・販売図面
3収支・レントロール
4登記・公図・関連図面
5賃貸・管理・修繕関係
6相場・周辺資料
7融資相談用チェックリスト

最初に物件概要を見れば、何の物件なのか分かる。その次に収支を見れば、いくら稼いでいる物件なのか分かる。その後に権利関係や賃貸状況を見る。

資料の順番にも意味があります。

「銀行が何を見るか」を営業も理解しておく

資料を揃えるだけなら事務作業です。でも不動産営業なら、その資料を銀行がなぜ見るのかまで理解しておいた方がいいです。

レントロールを見るのは、現在いくら賃料が入っているのかを見るため。賃貸借契約書を見るのは、賃料だけではなく契約内容や入居状況を確認するため。登記を見るのは、所有権や担保関係などを確認するためです。

修繕履歴を見るのも、「古いからダメ」という話ではありません。今後どれくらい修繕費がかかりそうか、建物がどう維持されてきたかを判断する材料になります。

一つひとつの資料には、銀行が確認したい理由があります。それを理解していれば、お客様から「なんでこれが必要なんですか?」と聞かれても説明できます。

融資資料を揃えると、営業自身の物件理解も深くなる

これをやると、実はお客様や銀行のためだけではありません。営業自身が物件をちゃんと見るようになります。

販売図面だけを見て営業していると、「価格はいくらです」「利回りは何%です」「駅から何分です」で終わります。

でも融資資料まで揃えようとすると、固定資産税はいくらなのか、家賃はいくらなのか、管理費はいくらなのか、修繕履歴はどうなっているのか、どんな契約になっているのかまで確認することになります。

つまり、資料を揃える作業そのものが物件調査になるんです。

ここまで見て初めて、「この物件は本当にいいのか」「銀行はどこを気にしそうか」「お客様にどう説明すべきか」が見えてきます。

同じ物件でも、営業の準備で印象は全然違う

例えば同じ投資物件を2人の営業が紹介するとします。

一人は販売図面だけ送って、「興味があれば銀行に相談してみてください」と言う。

もう一人は、物件概要、登記、レントロール、収支、税金、管理費、相場資料までまとめて、「銀行相談で必要になりそうな資料はここに入れています。追加で必要なものがあれば僕に言ってください」と渡す。

紹介している物件は同じです。でも、お客様から見た営業の価値は同じではありません。

営業の価値は、物件情報を知っていることだけではありません。
お客様が次に何をするのかを考えて、そこまで先回りして準備する。それが実務では大きな差になります。

「資料を送ります」で終わらせない

投資用不動産の営業なら、「資料を送ります」という言葉の意味をもう一段深く考えた方がいいです。

販売図面をPDFで1枚送ることが資料送付ではありません。お客様が物件を理解できて、銀行にも相談できて、必要な情報がある程度揃っている。そこまで作って初めて、実務で使える資料になります。

「資料を渡す」のではなく、「次の行動ができる状態にして渡す」。

投資物件なら、その次の行動は銀行への融資相談になることが多い。だから僕なら、銀行にそのまま持っていけるところまで準備します。

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