CURATION
2026/09/12
賃貸営業のヒアリングは何を聞く?Revoの接客ロープレをそのまま解説
Revoでは、不動産エージェント・不動産営業マン向けに、実際の現場で行っている営業方法や不動産実務について研修を行っています。
今回は、Revoで実際に賃貸仲介を行っているエージェントによる「賃貸接客ロープレ」です。お客様が来店してから、何を聞き、どう希望条件を整理し、どのようにエリアや物件を提案していくのか。実際の接客にかなり近い形で行いました。
賃貸営業というと、「希望家賃はいくらですか?」「何LDKですか?」「どのエリアで探しますか?」と条件を聞き、そのまま検索するイメージがあるかもしれません。しかし、今回のロープレではそうしていません。
今回のロープレで見てほしいところ
お客様が最初に言った条件をそのまま検索するのではなく、「なぜ引っ越すのか」「何を一番改善したいのか」まで聞いたうえで、条件そのものを整理していくところです。
来店したら、まず「今日はどれくらい時間がありますか?」から聞く
ロープレでは、お客様が来店した直後、いきなりパソコンを開いて物件検索を始めていません。挨拶をして、お客様カードを書いてもらい、そのあと最初に確認しているのが「今日は時間に制限がありますか?」ということでした。
お客様が仕事の途中で来ているのか、今日はゆっくり時間が取れるのか。それによって接客の進め方は変わります。営業側が一方的に1時間、2時間と話した結果、「実はこのあと仕事に戻らないといけません」となれば、お客様にとってはストレスです。
これは大げさな営業テクニックではありません。ただ、最初に相手の時間を確認するだけで、その後の会話の組み立てが変わります。
「どんな物件がいいですか?」より先に、引っ越し理由を聞く
次に聞いていたのが、今回なぜ引っ越すのかという理由です。
今回のお客様は、現在の住まいから勤務先までの通勤時間が長く、それを改善したいというのが大きな理由でした。そこで営業側は、「転勤ですか?」「以前からこの通勤を続けているんですか?」「今はどれくらい時間がかかっていますか?」と会話を広げています。
ここがかなり重要です。
例えば、お客様から「博多区で探しています」と言われても、博多区に住むこと自体が目的とは限りません。「会社まで近くしたい」という目的があって、その結果として博多区を見ているだけかもしれません。
そうであれば、博多区以外でも通勤時間を短縮でき、家賃や駐車場など他の条件を満たせるエリアがあるかもしれません。
希望エリアを聞く前に、なぜそのエリアで探しているのかを聞く。
これだけでも、営業側から出せる提案の幅はかなり変わります。
「近くなればいい」を具体的な数字にする
ロープレでは、お客様が現在かなり長い時間をかけて通勤していることが分かると、さらに「どのくらい短縮したいですか?」と聞いています。
「近い方がいい」という言葉だけでは検索条件になりません。30分以内なのか、1時間以内なら許容できるのかによって、提案できるエリアが変わるからです。
お客様の曖昧な希望を、実際に物件を探せる条件まで具体化する。ヒアリングはそのためにあります。
予算・立地・設備、どれを一番優先するのか
ロープレの中で、Revoの賃貸エージェントがお客様に聞いていたのが「優先順位」です。
部屋探しでは、希望を聞けばいくらでも出てきます。家賃は安い方がいい。会社には近い方がいい。築浅がいい。広い方がいい。駐車場も欲しい。できれば設備も新しい方がいい。
全部叶えばいいですが、実際には予算とのバランスがあります。
そこで今回のロープレでは、大きく次の3つに分けていました。
| 優先するもの | 具体的に見るポイント |
|---|---|
| 価格 | 家賃、共益費、駐車場代など毎月の負担 |
| 立地 | 通勤時間、駅距離、学校、日常の移動 |
| 設備 | 築年数、間取り、キッチン、オートロックなど |
「何を優先しますか?」と完全な自由回答で聞くより、「値段・立地・設備なら、どれが一番ですか?」と選択肢を作った方がお客様も答えやすくなります。
今回のお客様の場合は、「できれば予算を抑えたい」という答えが出ました。その一方で、多少築年数が経っていても、状態やリフォーム内容によっては検討できるということも会話の中で分かってきます。
最初に書いてもらった条件表だけを見ていたら、ここまで分からないことがあります。
条件を聞くことと、優先順位を聞くことは別です。
希望条件を10個聞いて終わるのではなく、その中で「絶対に外せないもの」と「条件次第では変えられるもの」を整理するところまでがヒアリングです。
家族全員の生活まで考えると、条件が変わることがある
今回のお客様は、ご本人だけではなく配偶者と小学生のお子さんがいるファミリーでした。
本人だけを見れば「勤務先への通勤が楽になること」が大きな条件です。しかし、家族全体で考えると、配偶者の通勤、子どもの学校、駐車場、周辺環境なども関係してきます。
ロープレでも、「お子さんは何年生ですか?」「車は何台ですか?」「奥様も仕事をされていますか?」と、会話の中で少しずつ情報を確認しています。
特に今回大きかったのが、車を2台所有しているという条件でした。
物件自体は条件に合っていても、敷地内駐車場が1台しか取れない場合があります。近隣の月極駐車場まで含めて探すのか、最初から2台確保しやすいエリアに寄せるのか。それによって探し方は変わります。
部屋だけ見ていても、お客様の生活全体に合う物件かどうかは分かりません。
エリア提案は「お客様が言った場所」だけに限定しない
今回のロープレでは、地図を見せながらかなり具体的にエリアの話をしています。
ポイントは、お客様が最初に検索していたエリアだけを探していないことです。
今回のお客様の目的は、今より通勤時間を短くすること。そして、できれば家賃を抑えながら、家族で住めて車も確保したいということでした。
その条件を聞いたうえで、「このエリアなら通勤とのバランスが取りやすい」「こちらなら駐車場を探しやすい可能性がある」「この辺りまで広げれば予算に近づけやすい」と、別のエリアも候補として出していきます。
ここで大切なのは、営業マンの好みでエリアを押し付けることではありません。
なぜその場所を提案するのかを、お客様が話した条件とつなげて説明します。
「会社がここだから、この辺りも検討できます」
「駅距離より家賃を優先するとおっしゃっていたので、こちらまで広げると探しやすくなります」
「駐車場を2台確保したいので、中心部だけに絞ると物件より駐車場で苦戦する可能性があります」
こうやって理由を付けて提案する。
お客様から言われたエリアを検索するだけなら、ポータルサイトでもできます。営業マンが間に入る意味は、条件を聞いたうえで「こういう探し方もありますよ」と出せることです。
物件検索を始める前に、相場とのズレを直しておく
賃貸接客では、お客様が考えている予算と実際の募集相場に差があることも珍しくありません。
今回のロープレでも、現在住んでいるエリアの家賃や駐車場代と、福岡市内で探した場合の違いについて会話しています。
ここで営業側がやっているのは、単純に「その予算では無理です」と切ることではありません。
「この予算なら、場所をこちらまで広げると選択肢が増えます」
「建物のタイプを変えれば候補が出る可能性があります」
「駐車場を敷地内2台に限定するか、1台を近隣月極でもいいかで変わります」
このように、条件を一つずつ動かしています。
予算と希望条件が合わない時に、何も説明せず物件を大量に送っても、お客様は「どれも微妙だな」で終わります。
相場を説明したうえで、どの条件を変えれば現実的になるのかを一緒に整理する。
ここも賃貸営業の仕事です。
売りたい物件に無理やり誘導すると、お客様には伝わる
ロープレの後半では、お客様役から過去の不動産会社での経験について話が出ました。
いろいろ物件を紹介してくれたものの、「この物件を売りたいんだろうな」という営業側の意図が見えすぎて嫌だった、という内容です。
これは賃貸営業をする側としてかなり考えさせられる話です。
営業マンには「この物件なら決まりそう」「この物件を案内したい」という考えがあります。それ自体は悪いことではありません。
ただ、お客様が話した条件を無視して、「とにかくここに決めたい」という営業になると、それは相手にも伝わります。
今回の接客では、最初から一つの物件へ誘導するのではなく、まず引っ越し理由と優先順位を整理しています。
そのうえで物件を出すから、「営業マンが売りたい物件」ではなく、「お客様の条件から考えると、この物件」という提案になります。
物件を押す前に、理由を作る。
「おすすめです」だけでは弱い。その物件がお客様のどの希望に合っているのかまで説明できて、初めて提案になります。
ポータルサイトに載っている物件を見せるだけでは弱い
今回のお客様は、これまでポータルサイトを見ながら自分で物件を探していました。
問い合わせをすると何度も営業連絡が来そうで面倒だから、「いい物件が出たら問い合わせよう」と考えていたそうです。こういうお客様は実際にいます。
その状態で営業マンが、ポータルサイトに載っている物件をそのまま見せるだけでは、わざわざ相談する意味がありません。
ロープレでは、ポータルサイトと実際の募集状況にはタイミングのズレが生じる場合があることや、営業側では管理会社などの募集情報を確認しながら提案できることを説明しています。
さらに、忙しくてすぐ内覧できない家族のために、過去に撮影しているパノラマや室内情報を使って判断材料を増やすという話も出ました。
もちろん、写真やパノラマだけで物件のすべてが分かるわけではありません。
ただ、「お客様がネットで見られる情報とまったく同じもの」を出すのではなく、自分たちが持っている情報や現場経験を足していく。
これが営業マンが間に入る価値になります。
今回のロープレで分かる、賃貸ヒアリングの流れ
| 接客の流れ | 確認すること |
|---|---|
| 来店直後 | 今日使える時間、お客様カード |
| 引っ越し理由 | なぜ今の家から動きたいのか |
| 現在の生活 | 勤務先、通勤時間、家族構成、車の台数など |
| 希望条件 | 家賃、広さ、築年数、設備など |
| 優先順位 | 価格・立地・設備の何を優先するのか |
| エリア提案 | 目的を満たせる別のエリアまで提案する |
| 物件提案 | ヒアリングした条件をもとに候補を絞る |
こうやって見ると、実際に物件検索を始めるまでにかなり話しています。
でも、ここを飛ばしてしまうと、検索してから何度も条件を変えることになります。
「やっぱりもう少し安い方がいい」
「実は駐車場2台必要です」
「妻がこのエリアは嫌だと言っています」
「築年数はそこまで気にしていません」
こういう話が後から出てくるほど、物件探しはやり直しになります。
物件検索の時間を短くしたいなら、検索を急ぐより先にヒアリングをする。
今回のロープレを見ると、そこがよく分かります。
賃貸営業は、条件を聞く仕事ではなく条件を整理する仕事
お客様が最初から、自分に必要な条件を全部整理して来店するとは限りません。
「駅近がいい」と思っていたけれど、話してみると本当に困っていたのは通勤時間だった。「築浅がいい」と言っていたけれど、理由を聞けば古い設備が嫌なだけだった。「駐車場2台必須」と思っていたけれど、1台が近隣でも問題なかった。
こういうことは接客をしていると出てきます。
だから営業マンは、条件表を埋めるだけでは足りません。
なぜその条件なのかを聞く。条件同士がぶつかったら、どちらを優先するのかを聞く。そして、その答えをもとに別の選択肢を出す。
お客様自身もまだ整理できていない希望を、一緒に整理していく。
今回の賃貸接客ロープレで一番伝わるのは、そこだと思います。
